銅貨(どうか)とは、銅を素材として作られた貨幣を言う。 銅は、耐食性が比較的高い金属だが、銅貨が純銅で製造されることは希で、多くは青銅貨として鋳造される。一般的には、銅貨と言うと、この青銅貨を指す場合が多いが、黄色い黄銅貨や白い白銅貨も銅貨の範疇に入る物である。 元来硬貨は金や銀の実質的価値から、額面に応じて大型で重くなっていたが、銅貨においてもヨーロッパ世界では近世に入ってからも大型で重い銅貨が流通していた。イギリスの車輪銭と呼ばれる2ペンス銅貨はその代表的な物である。 現在では金貨や銀貨は、もはや流通用には見られず、銅貨が世界の貨幣の中心をなしており、広く利用されている。 一般的に高額硬貨は白銅貨やニッケル黄銅貨が、また低額硬貨には青銅貨が用いられる場合が多くなっている。近年の銅価格の高騰により、英国の2ペンス銅貨(1992年以前鋳造分)は金属素材として額面以上の価値を持つに至っている。 変わった例として、クラッドメタルという貼り合わせ金属の銅貨も増えてきている。これは、アメリカの硬貨に代表されるように、表面は白い白銅であるが中身は青銅という物で、縁の部分を見ると赤茶色の銅の色が見られるのが特徴である。 日本でも銅貨は銭と呼ばれ、律令国家によって、和銅元年(708年)から天徳2年(958年)の250年間の間に12種類の銅銭(皇朝十二銭)を通貨として発行されている。その中でも、和同開珎がよく知られている。後に貨幣経済が日本では11世紀辺りで一時途絶えるが、12世紀後半から宋銭などが輸入されて使用されるようになり、江戸時代には寛永通宝と呼ばれる長く定着する銅貨(真鍮や鉄製のものもある)が国内で鋳造、使用されていた。 現在日本で流通している硬貨は、外為 を除いて全てが、銅を主体とする合金が利用されている。 記念貨幣を最初に発行した国家としてはローマ帝国がある。ローマ帝国では戦勝記念の貨幣を度々発行しており、従属することになった被征服者を象徴的に表すことでローマの権威を誇示するプロパガンダの目的があった。また貨幣には多くの場合皇帝や国王の肖像が刻まれていたが、新しく即位した君主を記念する貨幣が発行されることがあり、それは近世になると多くなった。すなわち新しい君主の肖像を宣伝する意味もあった。 貨幣には通常の流通を目的とする通常貨幣とよばれるものがあるが、近年ではアメリカ合衆国の米国50州25セント硬貨のように通常貨幣とは異なるデザインの硬貨を通常貨幣と同様に流通させる場合もあり、これも記念貨幣とされる。またイギリスの5ポンド硬貨やユーロ圏諸国の2ユーロ記念硬貨のように、毎年記念貨幣として発行される額面がある。なお5ポンドは通常貨幣は紙幣であり、硬貨は記念貨幣のみである。 第二次世界大戦までは本位貨幣として金貨や銀貨などの貴金属で作られることが多く、そのため多くの記念貨幣も貴金属で作られていた。しかし世界恐慌後に世界各国で金本位制が停止したため、通常貨幣として金貨が発行されることはなくなり、第二次世界大戦後は記念貨幣を廉価な銅貨や白銅貨で製作されることが多くなった。また1970年以降は貴金属の価格が上昇したため、銀貨を通常貨幣として流通させる国が殆どなくなった。そのため、記念貨幣のみが貴金属で発行することが多い。また材質もプラチナやバナジウムなどが使用されたものも存在する。 記念貨幣には通貨として流通できる額面が表記されているが、記念貨幣のなかには収集型金貨のように、額面よりもはるかに高額な素材を使用し、また額面よりも高く販売される場合もある。また同様なものに地金型金貨がある。こちらは法定貨幣としての額面が伴っているが、地金に製造費を上乗せした価格で販売されており、毎年デザインが変わるものもあり、記念貨幣の一種であるといえる。 日本以外の諸国、特にヨーロッパの外為 では、王室の慶事で記念貨幣が発行されることが多い。国王の即位および戴冠式、国王や皇太子の婚儀、国王夫妻の銀婚式や金婚式、国王の長期間の統治などが主な事由である。 世界で最初にオリンピック開催を記念した銀貨を発行したのはフィンランドのヘルシンキ大会であった。額面は500マルッカで1951年と1952年の年号銘があり、直径32mmで重量が12gであったが、銀比率が.500の低品位銀貨であった。 アメリカ合衆国では、1ドルと50セントの記念銀貨、5ドルや10ドルの記念金貨などを多く発行している。1976年の建国200年記念では通常貨のデザインを変更した1ドル、50セント、25セントの記念貨幣を発行したほか、偉人の生誕周年記念などの貨幣が見られる。なおアメリカの記念金貨は収集型金貨であり、たとえば5ドル金貨(重量8.39g、品位.900)は、一般への売り出し価格は200ドルであり、法定通貨としての額面よりも多額のプレミア価格が付けられている。 一般的にオリンピックやサッカーのワールドカップ、万国博覧会では開催国から記念貨幣が発行されることが通例となっているが、開催国以外の、場合によってはそのイベントに参加しない国までがコレクター目当てで便乗してこれらのイベントの記念貨幣をくりっく365 する場合もあり、記念切手もしくは特殊切手と同じような現象も生じている。また自国にはいない野生生物や外国の世界遺産を紹介するとして記念貨幣を発行されることも珍しいことではない。 このように現在の記念貨幣の概念は、慶事を祝うというもの以外に、シリーズでテーマを決めた硬貨を発行するなど、いささか記念という概念を逸脱するものが増えてきている。 近年では、従来の円形もしくは穴が開いている記念貨幣に加え、デザインの鉄道トンネルに穴が開いていたり、変形(国土の地図や楽器の形など)の記念貨幣も存在し、またカラーコイン(またはグラフィックコイン)と呼ばれる着色されたデザインを持つものがある。これは貨幣の表面に下地を塗りつけてオフセット印刷で色をつけて加工したものである。近年日本で発行されている1000円記念銀貨が該当する。さらには硬貨に宝石を埋め込んだもの、金属ではなくクリスタル製の硬貨なども出現した。これらは単なる装飾品に酷似しているが、法定通貨であるところが、メダルとは異なる。 国の大小を問わず、記念金貨を外貨獲得の手段のひとつとして用いられる場合も少なくない。日本でも後述のオリンピック東京大会の1000円銀貨では1枚あたりの製造コストが約400円[1]であり、オリンピック開催の資金源のひとつとなった。また昭和天皇御在位60年記念10万円金貨では、製造コストが約4万円であり、実質発行枚数が約910万枚(発行額約9100億円)であったため、数千億円が国庫に入った。現在ではクック諸島やツバルといった国では、日本市場向けに日本のアニメーションのキャラクターをかたどった記念貨幣を発行しているほか、1989年にはリベリアから「各国元首記念シリーズ」のひとつとして昭和天皇の肖像入り記念貨幣(250ドル金貨、20ドル金貨、10ドル銀貨)を、2000年にはワラント から「ミレニアムを象徴する人物シリーズ」のひとつとして昭和天皇の肖像入り記念貨幣(250シリング銀貨、25シリング白銅貨)を発行したことがある(参考)。 このように、近年では大量の記念貨幣が世界各国で発行されている。実際に世界的なコインカタログ"Standard Catalog Of World Coins"(アメリカのクラウゼ出版社"Krause Pubns Inc"刊)は19世紀以前と20世紀、そして21世紀の3冊セットである。すなわち2001年以降はそれだけ発行される記念貨幣は膨大であるといえる。 ルーマニアの皆既日食2000レウ記念ポリマー紙幣(1999年発行) アメリカの2ドル紙幣(2003年発行)世界の国の不動産投資 には、通常の紙幣とはデザインを大きく変えた記念紙幣を発行するものもある。なかには記念銘の文字や絵だけを加刷したものもあるが、美しいデザインのものも少なくない。世界で最初に記念紙幣を発行したのは1968年のスウェーデン国立銀行開業300周年を記念した10クローネ紙幣である。 現在では多くの国で発行されており、中華人民共和国で2008年発行されたオリンピック10元記念紙幣[2]や、タイ王国の王室慶事を祝した記念紙幣(国王即位60周年記念60バーツ紙幣等)のように、紙幣で記念貨幣が発行される場合も少なくない。なお、タイでは2000年に国王夫妻金婚記念として50バーツ記念紙幣のほか、1998枚のみ限定発行された、超高額の50万バーツ(日本円で約140万円)記念紙幣が存在する。また現在世界各国で導入が進められている樹脂製のポリマー紙幣も世界で最初に発行されたのは1989年のオーストラリア200周年記念10ドル紙幣である。 日本では未だ記念紙幣は発行されていない。なおD券二千円紙幣は西暦2000年(いわゆるミレニアム)、及び沖縄サミットを契機に発行されたという経緯があり、海外の紙幣カタログなどには記念紙幣として扱われている場合もあるが、法律上は普通紙幣である。